現代の日本では、祖父母・夫婦とその子どもが一緒に暮らす「三世代世帯」が減少し、夫婦とその子どもで構成される「核家族」が増えています。そのような理由から、「孫に会いたいけど、なかなか会えなくて辛い……」と悩む方も多いですよね。
孫に会う機会を設けるには、その家に生まれた男の子の成長・健康などの願いを込めてお祝いする行事である「初節句」のお祝いをするのもひとつの手と言えるでしょう。
そもそも昔の日本では、他所の家に嫁いでしまい、会いづらくなった娘や孫に会う口実として、「母方の実家が、五月人形をお祝いに持参していた」というご家族も多かったようです。また初節句は、子どものパパやママにとっても、「孫の顔が見たい」と願う祖父母に赤ちゃんの成長を報告できるイベントのひとつでもあります。
ただ「初節句」には気をつけるべきポイント、マナーなどがあるので、お祝いをする時には注意しましょう。初節句は大切な孫の一生に一度しかないイベントだからこそ、きちんとお祝いしてあげたいものですよね。
本記事では、「孫の初節句をお祝いしたい」と考える方に向けて、「お祝いで、気をつけるべきポイント」を踏まえた上で、おすすめのお祝い、注意点について紹介します。
初節句のお祝いを贈る時は、「子どものパパとママ」に意向を確認しておくことが大事
孫に「初節句のお祝い」を贈る場合、子どものパパ・ママにいくつか確認しておくべきポイントがあるので、注意が必要です。ここでは、祖父母が「孫の初節句祝い」をする際に、確認しておくべきポイントについて紹介します。
- お祝いする時期
- 子どものパパ・ママ、または双方の実家同士で相談する
お祝いする時期
孫の初節句のお祝いを贈る時は、事前に子どものパパとママに「お祝いをする時期」を確認しておくことが大切です。
一般的な初節句の時期は、子どもが誕生してからはじめて迎えることとなる端午の節句(5月5日)にお祝いします。ただし、4月生まれの男の子など、産まれて間もないうちに初節句を迎える子どもの場合、お祝いを来年に延期するというケースもあるようです。
孫が初節句を迎える時は、まずは子どものパパとママに「孫の初節句は今年お祝いするのか、それとも来年にするのか?」について、事前に確認しておきましょう。
参考記事:祖父母からの初節句のお祝いは?相場・渡す時期・お返しのマナーをチェック!(スタジオアリス)
子どものパパ・ママ、または双方の実家同士で相談する
孫の初節句にお祝いを贈る時には、子どものパパとママに、贈る予定をしているもの(節句飾りなど)を確認しておくことも大切です。
たとえば孫のお祝いに節句飾りのひとつである「五月人形」を贈る場合、子どものパパ・ママに相談しないまま勝手に人形を購入してしまうと、父方と母方の実家同士が「五月人形」を同時に用意してしまうといったトラブルが起こることが考えられます。
それがきっかけで両家の関係がギクシャクしてしまうのは、大変つらいものですよね。仮に双方の実家からそれぞれ「五月人形」を贈られてきた場合、子どものパパとママが「どちらを飾ったらいいのだろう……」と困惑してしまうかもしれません。
トラブルを未然に防ぐためにも、孫の節句祝いを贈る際には、子どものパパとママに欲しい物を確認した上で、贈り物が重複しないように親族の間で相談しておきましょう。
五月人形を「誰が購入するか?」については「五月人形は誰が買うべき?一般的なしきたり・地域別の風習、購入時の注意点について紹介」の記事で詳しく紹介していますので、あわせてご覧くださいませ。
孫の「初節句」におすすめのお祝いを紹介
「初節句のお祝いをしたいけど、何を贈れば喜んでもらえるのだろう?」
ここでは、そのような悩みを抱えている方向けに「孫の初節句におすすめのお祝い」と、それぞれの相場について紹介します。
- お祝い金を贈る
- 食事会を開く
- 節句飾りを贈る
お祝い金を贈る
画像引用:【お食い初め】お祝い金の相場やマナーは?お祝いのプレゼントもご紹介!(中納言のお食い初め)
お祝い金とは、結婚、出産、初節句などの「お祝い」の際に、祝福や支援の意味を込めて贈るお金のことです。現金であれば、パパとママに「欲しいもの」を選んでもらえるため、「孫にお祝いをしたいけど、何をプレゼントしたらいいかわからない……」という方におすすめです。
お祝い金の価格相場
お祝い金の金額については、特別なルールなどは定められておりません。そのため、あくまで参考程度にしていただきたいのですが、孫の初節句お祝いとして「お祝い金」を贈る場合、一般的な相場は5万〜30万円前後になるケースが多いです。
孫へのお祝い金は、父方、母方のいずれか一方の負担が偏ると、のちのちお互いの関係性がギクシャクしてしまう恐れがあるので注意しましょう。お祝い金を贈る時は、お祝い金をいくら包むかについて、事前に父方、母方の実家同士で相談して決めておくと安心です。
参考記事:祖父母からの初節句のお祝いは?相場・渡す時期・お返しのマナーをチェック!(スタジオアリス)
食事会を開く
鈴甲子雄山のお客様の中には、子どものパパとママ、父方や母方の実家、親戚を交えて「食事会」を開いてお祝いされる方もいらっしゃいます。
初節句の食事会において、特別なルール・しきたりはありませんが、一般的に子どものパパとママが、祖父母、親戚といったゲストを自宅、またはお店などに招いて開催するケースが多いようです。
食事会の費用相場
初節句の食事会の費用について特別なルール・決まりはありませんが、お祝いをお店でする場合は、一般的に「1人あたりの予算を5,000円以上」に設定するケースが多いです。「節句飾り」や「お祝い金」のお礼としてパパとママが食事会に招待した場合であれば、食事会の費用を子どものパパとママが支払うケースも少なくありません。
ただ時と場合によっては、父方、または母方の実家が「食事会」の費用を支払うケースもあります。双方の実家同士で「食事会の費用を出し合う」という場合は、事前に予算を相談し合って決めておくといいでしょう。
参考記事:初節句を食事会でお祝い!場所や内祝いなど決めておくことをチェック(スタジオアリス)
節句飾りを贈る
初節句では、五月人形、鯉のぼりなどの「節句飾りの購入費用」を、祖父母が「お祝い」として贈るケースも少なくありません。
節句飾りとは、お子さまの健やかな成長を祈って「節句行事(端午の節句など)」の際に飾るアイテムのこと。日本では家に男の子が生まれると、お子さまの健やかな成長を祈って、端午の節句(5月5日)に五月人形、鯉のぼりなどの「節句飾り」を飾る風習があります。
節句人形を飾る理由については、「節句人形を飾る理由とは?五節句の始まりをご紹介」で詳しく紹介していますので、あわせてご覧くださいませ。
節句飾りの五月人形、鯉のぼりには、それぞれ「子どもに込められた願い」が異なるので注意しましょう。それぞれの「節句飾りの意味」については、主に以下のとおりです。
- 五月人形(内飾り)……健やかな成長と健康、災いから身を守る
- 鯉のぼり(外飾り)……健やかな成長、立身出世(社会的によい地位につく)
五月人形とは、鎧、兜を身に纏った人形のこと。鯉のぼりとは、その家に生まれた男の子の成長を願って、家庭の庭先に飾る「鯉の形に模して作られたのぼり」のことです。五月人形が屋内に飾る「内飾り」であるのに対し、鯉のぼりは屋外に飾ることから「外飾り」と呼ばれています。
いずれの節句飾りにも「子どもの健やかな成長を守る」という意味がありますが、五月人形には「災いから身を守る」という厄除け要素があるのに対し、鯉のぼりには「立身出世」などの願いが込められています。
孫に「初節句のお祝い」をする時は、子どものパパ・ママから「子ども」への願いを確認した上で、適した「節句飾り」を選びましょう。
孫にお祝いで「五月人形」を贈る時の価格相場
五月人形は、デザインやサイズによって予算が異なります。あくまでも参考程度にしていただきたいのですが、五月人形は「種類別」に予算が以下のように変動するケースが多いです。
- 兜飾り……8万円~30万円前後
- 鎧飾り……20万円~30万円以上
- 人形飾り(大将飾り、武者人形など)……10万円~15万円前後
五月人形は、一般的に弓太刀、屏風などのオプション飾りが増える、または「サイズ」が大きくなるほど価格が高くなる傾向にあるようです。
鈴甲子雄山のお客様の中には、父方、母方の実家同士で協力し合って「孫のお祝い金」を用意する、または子どものパパとママ、祖父母でお金を出し合って「五月人形」を購入するといった方もいらっしゃいます。そのような場合は、お互いに負担のないように「五月人形の購入予算」について相談しておくといいでしょう。
五月人形の価格相場については「五月人形の価格相場を知る。相場別の『おすすめの五月人形』についても詳しく紹介します」で詳しく紹介していますので、あわせてご覧くださいませ。
参考記事:五月人形の相場(名古屋刀剣ワールド)
孫の初節句お祝いで、注意すべきポイント
大切な孫の「初節句」は、失礼やトラブルがないように、マナーをきちんと守ってお祝いしたいものですよね。そこで本項目では、孫の初節句のお祝いに欠かせないマナーや、注意すべきポイントについて紹介します。
- お祝い金は、紅白の蝶結び(花結び)のご祝儀袋を選ぶ
- 孫の両親に、「お祝いの品」について問題ないか相談する
お祝い金は、紅白の蝶結び(花結び)のご祝儀袋を選ぶ
画像引用:お食い初めのお祝い金や贈り物は必要?誰にどう渡したらいいの?(トモニテ)
「初節句」のお祝い金を贈る場合は、一般的に「紅白の蝶結び(花結び)」の水引が飾られたご祝儀袋にお金を入れて渡すのがマナーとされています。
「紅白の蝶結び」は、結び目を何度でも簡単に結び直せることから、「何度訪れても良いお祝い事、お礼」の時に使うと良いと言い伝えられてきました。そのような理由から、日本では古くから「紅白の蝶結び」は、お食い初め(新生児の生後100日に行われる儀式)、初節句、七五三、入学・卒業といった「子どもの成長を祝う行事」や、出産や長寿のお祝いなどに用いられています。
ご祝儀袋の書き方
ご祝儀袋の表書きには、お祝いを意味する「御祝」、または「初節句御祝」、「祝 初節句」などの言葉を記載します。(※縁起を担ぐ人の場合、表に「4文字」あることを嫌がるケースもあるので、4文字が続く時は「祝」の下に1文字分「空白」を入れておくと安心です。)
贈り主の氏名は、下段に筆(または筆ペン)などで記載しましょう。
参考記事:祝い金の相場も解説 祖父母からの初節句祝い基本マナー(ゼクシィ内祝い)
参考記事:【蝶結び・結び切り・色】種類別、知らないでは済まされない?「のし」のルール(プリント日和)
孫の両親に、「お祝いの品」について問題ないか相談する
五月人形には、全身が鎧に包まれた「兜飾り」や、頭部の鎧をモデルにして作られた「兜飾り」、人形タイプの「大将飾り」など、種類もさまざま。種類によっては豪華絢爛なものから、可愛らしいデザインのものがあり、それぞれ見た目、雰囲気の印象が異なります。
祖父母が五月人形を「お祝い」として購入する場合、子どものパパとママに確認せず、勝手に商品を選んでしまうと「このデザインは、好みではない」「大きすぎて、部屋に飾ることができない」などといったトラブルが起こる可能性があるので注意しましょう。
五月人形といった「節句飾り」をお祝いで贈る時は、祖父母側で勝手に商品を選ぶのではなく、事前に子どものパパとママの意向を確認した上で購入するのがおすすめです。または、祖父母、両親、孫と一緒にお店へ出向いて、相談しながら「五月人形」を選ぶと良いでしょう。
孫の初節句のお祝いには、良質な「五月人形」がおすすめ
「初節句」は孫の大切なイベントだからこそ、「五月人形」を選ぶ時には孫、または子どものパパやママに喜んでもらえるような、良質なものを選びたいものですよね。
良質な五月人形を選ぶなら、職人が手作業で丁寧に制作している「節句人形の専門店」で購入するのがおすすめです。節句専門店の五月人形は、職人がひとつひとつ手間暇をかけて丁寧に作られたものが多いため、良質な五月人形を豊富に取りそろえています。
鈴甲子雄山のお客様の中には、「初節句で食事会をするため、親戚に見せても恥ずかしくない『美しい五月人形』を探している」という方もいらっしゃいます。職人が丁寧に制作した五月人形ならば、鎧や顔のパーツまで美しい造りをしたものが多いので、「初節句の食事会」でお披露目した時も、きっと良い評判を頂けることでしょう。
参考記事:五月人形はどこで買うのがおすすめ?五月人形を購入できるお店の種類、選び方のポイントについてまとめました
まとめ
孫の「初節句」のお祝いは、主に以下の方法があります。
- お祝い金を贈る
- 食事会を開く
- 節句飾りを贈る
祖父母から孫の初節句お祝いとして、節句人形のひとつである「五月人形」を贈る場合、人気のあるお店の商品だと早くに売り切れてしまう可能性があるので注意が必要です。
多くの場合、「五月人形」は3月3日のひなまつりが終わるタイミング~3月中旬頃に販売されるケースが多いので、その前に商品を予約しておくのが望ましいと言えるでしょう。男の子の節句飾りである「五月人形の購入時期、飾る時期については「五月人形はいつ出すべき?起源から考える、購入・飾る・片付ける時期」で詳しく紹介していますので、こちらもご覧くださいませ。
「孫に、素敵な五月人形を贈りたい」と考えている場合は、できれば1月中旬から五月人形を探し始め、目星をつけておくことをおすすめします。