日本では古くから端午の節句(5月5日)に「子どもの厄を払う」という目的で五月人形を飾る風習があります。五月人形を飾る場所に特別な決まり・しきたりはありませんが、五月人形を飾る意味や人形を取り扱うことを加味した場合に、おすすめの飾り場所があります。本記事では、五月人形を飾るおすすめの場所とともに、飾る際の注意点について紹介します。
五月人形を飾るのにおすすめな、2つの場所
五月人形を飾る場所について、特別な決まり・しきたりはありません。ただし五月人形を飾る意味を踏まえると、五月人形を飾るなら「床の間」か「リビング」がおすすめでしょう。2つの場所について解説していきます。
床の間
五月人形を飾る場所におすすめなのは、格式の高い場所とされる「床の間(とこのま)」です。床の間とは、和室の中にある掛け軸、花、置物などを飾ることのできるスペースのことです。昔の武家においては、仏具・仏画など格式の高いものを飾る場所としていたようで、床の間は家の中の大切なものを設置する場所であることが伺えます。
武士が自分の身を守る「鎧」を家の中で格式の高い場所となる床の間に飾るという習慣から、「子供の身を守る」という意味を込めた五月人形を床の間に飾る風習が始まったようです。その様な風習の背景を理解していくと、五月人形を飾るおすすめの場所が床の間である理由もイメージがしやすいでしょう。
リビング
近年ではアパートやマンションに住居を持つ家庭も増えています。アパートやマンションなど部屋数が一軒家より少ない家の場合、床の間や和室そのものが無い家庭も少なくありません。そのような場合、床の間が無い家は家族が集まるリビングに飾るのもおすすめです。五月人形には子どもの災い・厄を引き受けてくれる「身代わり」または子どもの成長を見守ってもらうという意味も込められています。五月人形の飾る意味を踏まえると、子どもが過ごす時間の多いリビングも五月人形の設置場所に適していると言えるでしょう。
五月人形を飾る時の4つの注意点
五月人形は、日の光・湿気に弱いので飾る際には注意が必要です。ここでは、五月人形を飾る際に気をつけるべき4つの注意点について紹介します。
- 直射日光が当たらない場所を選ぶ
- 湿気の多い場所を避ける
- 子どもの手が届かない場所に飾る
- 飾る時は、手の汚れに気を付ける
直射日光が当たらない場所を選ぶ
五月人形は、兜・鎧の部分に金属を使用しているケースが多いです。金属や糸は直射日光に弱く、日の光に当たると色あせや変色を招きやすいので注意しましょう。鎧・兜を身に纏った人形タイプの「武者人形・子ども大将」の場合も直射日光に弱いので、日の光が当たらない場所に飾ることをおすすめします。五月人形を飾る時は色あせ・変色・人形のひび割れを防ぐためにも、直射日光が当たらない場所に飾りましょう。
湿気の多い場所を避ける
五月人形は、鎧・兜の部品に糸や革を使用しているものが多いです。糸や革は水・湿気の影響を受けるとカビが生えたりする場合もあります。また五月人形の屏風、飾り台は木のものが多く、湿気の影響で木材が反ってしまうこともあります。湿気の影響を受けないためにも五月人形は湿気の少ない場所に飾るようにしましょう。
子どもの手が届かない場所に飾る
五月人形の飾りには、「鍬形(くわがた)(※)」など、先が鋭利になっているものも少なくありません。五月人形を飾る時には子どもが触ってケガをしないよう、なるべく手が届かない場所に飾るのが望ましいです。五月人形の商品によっては、刀などの飾りが小さいものも多いです。小さな飾りが多い五月人形の場合は、小さなお子さんが誤飲する恐れがあるので、飾る時には子どもの手が届きにくい場所に飾る、もしくは直接手を触れないようにするためにアクリルケースに入れることも一つあるでしょう。ペットがいたずらしてしまう場合もあるので、おすすめです。
※鍬形(くわがた)……兜の前びさしの上にある、角のように立っている金具のこと。
飾る時は、手の汚れに気を付ける
五月人形は金属部品が多く使用されているので、素手で飾ると手の汗(塩分)・脂分など指紋が残る恐れがあります。五月人形を飾る際には、手の汗・脂分・指紋がつかないように手袋を着用をすると良いでしょう。手袋を着用して丁寧に五月人形を取り扱うことで手の汗・脂分・指紋がつかないので、いつまでも綺麗な状態で五月人形を飾り続けることができます。
まとめ
五月人形は、一般的に格式の高い場所とされる床の間に飾ると良いとされていますが、五月人形には子どもを見守るという意味があるので、床の間が無い場合は子どもが過ごす時間の多いリビングに飾るのもおすすめです。
しかし、お部屋の間取りによっては飾れる場所が限られている家庭も少なくないでしょう。今回ご紹介したおすすめの飾る場所は理想の場所や条件を述べましたが、設置する場所に特別なしきたりや決まりはありませんので、どうしても条件に合うような設置場所が無い場合は、ご自身の判断で適切な場所に設置すると良いでしょう。また、ご自身の判断の際の判断材料として今回の記事を参考にして頂けると幸いです。