五月人形・鈴甲子雄山の特徴と技術

五月人形を作る職人や会社は少なくありません。「どのようなデザインの五月人形を選ぶか」とともに、「どの職人・会社のものを子どもに贈るか」迷われることもあるでしょう。

そこで、鈴甲子雄山自らが、工房の特徴や技術について解説しました。ぜひ、五月人形選びの参考にご利用ください。

目次

鈴甲子雄山の歴史

創業100余年の甲冑工房・鈴甲子雄山。東京都の墨田区で、下町の職人だった初代「雄山」鈴木甲子八から始まり、4代目まで脈々と知識や技術が受け継がれてきました。

今から、40年ほど前には現在の鈴甲子雄山工房がある千葉県・鎌ヶ谷に工房を移転し、豊かな地でのびのびと五月人形の制作を行っています。

写真は鈴甲子雄山工房の外観

鈴甲子雄山の特徴と技術

現在、4代目が雄山を襲名し、鈴甲子の五月人形が制作されています。時代に合わせ、「おぼこ丸人形」など現代的な作品も作り上げてきていますが、代々受け継いできた伝統を守り続けてきました。

写真はおぼこ丸人形。手足、表情は小さな子供のふくよかさが表現され、愛らしい三頭身のフォルムを有している。

最も特徴的な点は、初代から4代目まで全てが本物の甲冑を再現できることです。これまで数々作り上げてきましたが、中でも人気がある作品例として、赤糸威大鎧(御嶽神社所蔵)や、赤糸威胴丸鎧(大山祇神社所蔵)などが挙げられます。

これらは、縫い目の長さや糸の太さに至るまで実物の寸法・素材で製作しており、まさしく、当時の甲冑の美しさを味わうことができる作品です。

写真は赤糸威大鎧の模写。本物は鎌倉武士である畠山重忠が奉納したと伝わる平安時代後期の大鎧。鉢の漆仕上げまでに6ヶ月、しころの漆仕上げまでに9ヶ月、伏組まで約3週間、そのほか組み立て等の時間も含め、7年かけて作成。
写真は赤糸威胴丸鎧。本物は神の宿る鎧と称される最高傑作の胴丸鎧。赤糸威大鎧と同様に時間をかけて作り上げた自信作。

鈴甲子雄山が販売している五月人形の特徴

本物の甲冑を再現できる職人が惜しみなく技術を注ぎ込み、皆様のお手元に届ける五月人形を年間1万領、全て手作業で作り上げています。

中でも、雄山の特徴や技術が感じられるものとして定評がある国宝模写は、実物の甲冑を最大1/6サイズまで縮小したサイズ。もちろん、全て1/6サイズに縮尺しているため、本物と同様の甲冑機能を備えています。

写真は竹雀之鎧。「竹に雀」の透かし金具を全面に、両袖に「竹に虎」の大金物を配した豪華な装飾の鎧兜。鈴甲子雄山では、実地調査を行い、平安道斎シリーズの鳥獣戯画の兜のような金具を表現。竹雀之鎧は1/5サイズで販売展開している。

そして、やはり子どもの特性や願いに合わせて、五月人形として選ばれやすいのが戦国武将の甲冑。雄山も実物になぞらえて制作しています。

写真は日輪弦月(日輪三日月) 。信仰深かったとされる上杉謙信が、勝利や護身にご利益がある「摩利支天」の象徴として取り入れた日輪と三日月モチーフの甲冑。鈴甲子雄山では、1/3サイズで販売展開している。

このほかにも、模写の技術をベースに、さまざまな世界観の作品を生み出しています。例えば、具足では伊代札を牛革で再現していますが、その加工技術を用いて、Armadura(アルマドラ)のヨーロッパ調の兜に応用した作品などがあります。

写真はArmadura(アルマドラ)。Armaduraはスペイン語で甲冑の意。革製品が有名なスペインの特徴を踏まえ、アンティーク調な風合いを手作りで研ぎ出した現代のインテリアにも合うデザインに仕上げている。

このように、甲冑制作における様々な技術の引き出しを使って、新しい商品の企画・開発をしている、伝統・時代の流行を大切にしている工房です。ぜひ、そのほかの作品も鈴甲子雄山の公式サイトでご覧ください。

※写真の無断使用はおやめください。

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